西アフリカに位置するトーゴ共和国は、東にベナン、西にガーナ、北にブルキナファソと接する細長い国です。国土は小さいものの、南の海岸部から北のサバンナ地帯まで地理的な変化があり、その多様性は食文化にも色濃く反映されています。トーゴの食文化を理解するには、周辺国との比較、歴史的背景、そして日本との関係性をあわせて見ることが重要です。
トーゴの主食と周辺国との共通点・違い
トーゴの食文化は、西アフリカ全体に共通する要素を多く持っています。主食としてよく食べられているのは、トウモロコシ、キャッサバ、ヤムイモ、ミレット(雑穀)などです。これらを粉状にして練り上げた「フフ」や「アクメ」と呼ばれる料理は、ガーナやベナンでも広く食べられています。
しかし、トーゴの特徴は「地域差の大きさ」にあります。例えば、南部ではトウモロコシを発酵させた料理が多く、酸味のある味付けが好まれます。一方、北部では雑穀を使った素朴な料理が中心で、香辛料も控えめです。ガーナのように油を多く使った濃厚な煮込みや、ナイジェリアのような強いスパイス感と比べると、トーゴ料理は比較的シンプルで素材の味を活かす傾向があります。
ソース文化に見るトーゴの個性
トーゴ料理を語るうえで欠かせないのが「ソース」の存在です。主食そのものは淡白ですが、ピーナッツソース、トマトベースのソース、オクラを使ったとろみのあるソースなどをかけて食べます。これは周辺国にも共通しますが、トーゴでは家庭ごと、地域ごとに味の違いが大きく、「家庭の味」が強く残っている点が特徴です。
特にピーナッツソースは、ベナンやブルキナファソと似ていながらも、トーゴでは野菜中心であっさり仕上げることが多く、日常食として親しまれています。
トーゴの伝統と歴史が育んだ食文化
トーゴの食文化は、長い歴史と多民族社会の中で形成されてきました。トーゴには40以上の民族が存在し、それぞれが独自の食習慣を持っています。植民地時代にはドイツ、のちにフランスの支配を受けた影響で、パンやコーヒーなどヨーロッパ由来の食文化も一部に残っています。
ただし、日常生活においては今もなお伝統的な食事が中心です。祭りや儀式では、祖先への供物として特定の料理が用意されるなど、食は宗教や精神文化とも深く結びついています。こうした点は、年中行事や行事食を大切にする日本文化とも共通しています。
日本との関係性と共通点
一見すると遠い存在に感じられるトーゴと日本ですが、食文化には意外な共通点があります。例えば、主食+おかず(ソース)という構成は、日本の「ご飯と味噌汁・おかず」に近い考え方です。また、発酵食品を取り入れる点も共通しています。トーゴ南部で見られる発酵トウモロコシ料理は、日本の味噌や漬物と同様、保存性と風味を高める知恵の産物です。
近年では、日本の国際協力を通じて農業支援や栄養改善の取り組みが行われ、トーゴ国内でも日本に対する親しみを感じる人が増えています。食を通じた交流は、今後さらに広がっていく可能性があります。
まとめ
トーゴの食文化は、西アフリカの共通性を持ちながらも、地域差と伝統を大切にする独自性が際立っています。周辺国と比較することで、その素朴さや家庭的な味わいがより鮮明になります。また、歴史や民族文化、日本との共通点を知ることで、トーゴ料理は単なる「異国の料理」ではなく、人々の暮らしと深く結びついた文化であることが見えてきます。
食文化を知ることは、その国の価値観や生き方を知ること。トーゴの食卓には、長い歴史と人々の知恵が静かに息づいているのです。
写真は、赤坂にあるトーゴ料理店のランチで食べたトーゴ料理。
今は閉店しているそう。残念。

